28才の初恋
第6章『びあっ!』

6-1

 ジメッとした湿気が大気を覆う。

 季節がら仕方ないとはいえ、この梅雨どきというのは苦手なものだ。
 まあ、この梅雨さえ明ければ私が好きな夏がやってくる。
 それに、季節にいくら文句を付けたところでどうしようも無いので今日も仕事に励む。

 とはいえ、ある程度の忙しい時期を抜けて、我が営業二課にはノンビリとした空気が漂っている。
 営業一課と三課は、来るべきお中元商戦に向けての準備でテンテコ舞いになっているようだが……毎年、この時期はウチの課だけがヒマになってしまう。

 そんな感じで、両隣に忙しい空気を感じながらも私はデスクの上で仕事のメールを処理するわけでもなく、ネットで『旅々ネット』なるページを眺めている。

 というのも、我が社では毎年七月に社員旅行が行事として行われるのだ。
 旅行の申し込みは提携している旅行会社に任せるのだが、こうやってネットを見て旅行先の選定をしている、というわけだ。
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