28才の初恋
 と、まあこんな感じで、梅雨でジメっとさえしていなければ何の文句もないほどにノンビリとしているわけである。
 通常の業務だってもちろんあるけれど、それでも忙しいとはとても言えない。

 これだけヒマを持て余しているんだから、こんな時こそ大樹クンでも眺めていよう……とか思った時に限って大樹クンは外回りに出てしまっているし。
 営業の社員にとって、外回りは大事な仕事であると同時に、最高のヒマ潰しになる。
 逆に、会社内で出来る仕事は限られているし、外回りに比べると会社内での仕事は時間が経つのがかなり遅く感じられる。

 それが証拠に、営業二課でもオフィス内に居るのは私と小島の二人きり。

 他の課員にしてみたところで大して仕事が無いことは課長である私が一番知っている。
だって、決済の書類も全然回ってこないからこそ私もヒマなのだから――ということは、みんな時間を潰すために外回りに出てしまっている、というワケで。

――平和なのは良いが……ヒマである。
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