28才の初恋
 時刻は五時半を回り、特に仕事もないのでもうすぐ退社時間になるなー、というところ。

 今夜は何を晩御飯にしようかなー。
 メン類は昨夜に極龍軒で『特製濃厚ゴマ味噌ラーメン背油たっぷりスペシャル』を食べたばかりだし、今日はサッパリとスープカレーとかでも良いかなー。具はアナゴなんてどうだろう?

 きーちゃんのご飯も何にしようか?
 どうやら金属のモノが好物のようなのだが、家にある不要な金属で出来たモノはあらかた食べさせてしまったし……帰りに百円ショップで鍋でも買って帰ってあげようかな……?

――なんてことをボンヤリと考えていた。

「今日は本当にムシムシとしますねー」

 その声に、私の耳が素早く反応する。
 言うまでもなく大樹クンの一言である。
 話しかけられた相手は……また磯野だ。

 今度こそ、キッチリと対応して大樹クンに一言でも多く話させるんだぞ!!
 睨みつつ、磯野に無言のプレッシャーを送ってみる。
< 287 / 518 >

この作品をシェア

pagetop