28才の初恋
 大樹クンから見て年上だし、上司だという思いから素直になれないこと。
 これまでにこんな恋を経験したことがなくて、自分でもどういうことをすれば良いのかまるで分からないこと。
 少しでも大樹クンと仲良くなりたくて、今までも色々とやってきたこと。
 そして、現在なぜか大樹クンに避けられてしまっていて、どうすれば良いのかまるで分からず悩んでいること――。

 小島は私の頭を撫でながら、黙って私の話を聞いてくれた。

 もしも、小島が男だったら、その優しさにコロっと惚れてしまいそうな優しさである。

 ひとしきり私が思いを吐露しきって、泣き止むまで小島はそっと私を抱き締めてくれていた。

 私が泣き止んで、やっと嗚咽が止まったのを見て、一言だけ「大丈夫ですよぉ」と。

 どちらが年上で、どちらが上司なのか分からないような光景を展開していた。
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