28才の初恋
 宴会の開始予定時刻も迫り、課員たちもめいめいに集まって来る。
 その中に大樹クンも混ざっていた。
 大樹クンは、やはり新人であるという意識があるのだろうか、宴会場の床の間から見て真逆、下座の一番端に自分の席を取る。

 小島流小悪魔式恋愛術、その四十七条。

『男の子が少し引いている時はコッチを意識している合図。ドンドン押してもっと意識させちゃえ!』

 師匠をチラっと横目で見ると、親指を立てて『GOサイン』を出している。
 了解であります!!
 ササッと歩いて大樹クンの隣に席を取るために動きだす――と、橋本に行く手を遮られた。

――何?何の用なの?

「課長はどうぞ上座に座ってください、じゃあそろそろ宴会を始めますので。課長、乾杯の音頭をお願いします」

――社会の礼儀作法なんて大嫌いだ!
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