28才の初恋
「大樹クン……何か言ってた?」

 小島に探りを入れてみる。

 大樹クンの性格からして、私の恥になるようなことを他人にペラペラ話すとは思えないけど……それでも、あの状況だ。
 真実を話す以外に他人に状況を伝えることなど不可能ではないか?

 その懸念が、私の不安により一層のリアリティを与えてしまうのだ。

 固唾を呑んで小島の返答を待つ――。

「うん、池田くんかなり慌ててましたよぉ」

 どこまで話してしまったんだろう?
 そう不安になりながら小島の言葉の続きを待つ。

「池田くんが露天風呂に入ったら、課長がノボせて倒れてたって、息を切らしながら部屋に入って来ましたからねぇ。」


 う、上手く誤魔化してくれてた!!
 これで、私の名誉は一応は保たれた。
 あんな常識外れな行動を取ってしまったのに、私をかばってくれるなんて――。
 
……大樹クン……やっぱり愛してるっ!!
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