28才の初恋

8-8

 夏季休暇の残り三日は本当に慌ただしく過ぎて行った。
この機会を逃すと、次は互いに年末になるまで地元に戻れない、ということで。
 一日ずつをかけてお互いの家へ挨拶に向かった。

 大樹クンのご両親は大樹クンに似て穏やかな人で「ウチの息子をお願いします」とややプレッシャーな一言をいただくことになった。

 ウチの両親は……言いたくないのだが。
 大樹クンを連れて来るなり和菓子のフルコースを振る舞い始めるわ、「結婚はいつにするんだ!?」と騒ぎ出すわ。
 挙句の果てには近所中にモチを配り始めるわで……本当に顔から火が出そうなほどに恥ずかしい目に遭ったわけで。

――大樹クンの苦笑いが痛かったこと……。

 それと、これは余談ではあるが。
 私たちは予定を一日繰り上げて、二人で東京に戻った。
 その理由は……まあ、『オトナのハナシ』ってことで了承してもらえると助かる。
< 511 / 518 >

この作品をシェア

pagetop