28才の初恋
 電車内で浮いた私の身体は、いつものようなグシャッという衝撃ではなくフワッという柔らかく包み込むような感触で受け止められた。

(ん……?)

 いつもとは違った感触に、衝撃に耐えるために固く瞑った目を開いて周囲の様子を窺う。

 目を開くと……そこには先ほどよりも接近した……大樹クンの顔が超至近距離に!
 それだけでも充分に鼻血を噴出モノなのだが、さらに見ると……大樹クンの両腕が私の顔の真横に在った。

 大樹クンが……自分の腕を使って私が周囲に押し潰されそうになるのをガードしてくれていたのだ……!!
 私に掛かってくるであろう重圧を、大樹クンが自分の背中と腕で全て遮断してくれている。
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