28才の初恋
 気持ちとしては、あと一時間ほど就業時間が残っていても、スグに大樹クンの歓迎会に移行したいところなのだが……私はこれでも一応は営業二課の課長だ。
 グッと我慢して『仕事モード』を発動する。

「どう? ちゃんと挨拶してきた?」

 戻ってきた大樹クンに仕事の首尾を尋ねる。
 各社の担当への第一印象が仕事を左右することも多い。最初の挨拶回りは重要な仕事なのだ。

「あ、ハイ!」

 元気良く大樹クンが答える。この返事の仕方なら大丈夫だろう。
 早速、残った仕事を片付けてしまうように指示を出す。

――さあ、これで後は歓迎会だけよ!!
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