28才の初恋
「よ、ヨシっ! じゃあ上がろう!」

 『ツンデレ因子』を何とか閉じ込めて。
 大樹クンと帰り支度を始める。
 妄想のような展開にならなかったのは残念だが……今日はまだ歓迎会が待っている!!
 しかも、歓迎会の会場までは二人きり!
 これは燃えざるをえないシュチュエーションだ。

 オフィスを出て、歓迎会の会場までは徒歩で十五分ほどの場所にある。
 営業二課で飲み会をするときにはいつも利用している店だ。
 大人数でも座れる座敷があり、急な宴会でも対応してくれるので重宝している。

 会社を出て、店までの道のりを大樹クンと並んで歩く。
 出来ればこのまま二人きりでデートになだれ込めれば最高なんだが……それはどう考えても無理だということくらいは、いくら私でも分かります。
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