28才の初恋
「ハハ……僕だってもうこれ以上は飲めませんよ」

 軽く微笑みながら、大樹クンが優しい口調でそう答えた。
 うう……やっぱり私が飲ませ過ぎた……か。
 
――頭の中に『反省』の二文字がよぎる。
 
 自分が楽しかったとはいえ……大樹クンに必要以上に飲ませ過ぎてしまったのだ。
 これはパワハラ、アルハラで訴えられても文句は言えない。というか……嫌われてしまったらどうしよう?

 もう『反省』どころではない、『猛省』の域に達するくらいに……自己嫌悪だ。
 飲み会で大樹クンに迷惑をかけた上に、またこうやって送ってもらって迷惑を……。
 
――もう……謝罪の言葉しか出てこない。
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