君と星空の彼方
★fourteen★私は誰の代わりですか
ただただ唇を噛みながら歩いていると、何人かの生徒とすれ違った。


………今は休み時間?それとも放課後?

峯浦先生はなんにも言ってくれなかったし…

外の光景が対して変わらないこの世界では、何時かも定かじゃないんだよね。



残念ながら見渡す限りでは時計はナシ…



またうつむきながら歩いて行くと、また男子生徒とすれ違った。


派手な金髪だなぁ、なんておもいながら…



「あ!ちょ、ちょっと!」


………私?

振り向くと、今すれ違った金髪クン。

すれ違ったのは彼で、呼び止めたのも彼、だよね?



「俺、同じクラスの雄也だけど…覚えてる?」


「あ、雄也君!覚えてるよ!」





オナリ君なんて珍しい名前だし…それに教科書事件もあって覚えてたんだ。



「良かった!

まず…この前は、ごめんな…ほら、教科書届ける時、能力使っちゃって」


「あ!いいよいいよ。

私さ、能力とか見るの初めてで…ちょっと驚きすぎちゃっただけだから。

雄也君は悪くないよ」


そう言うと、良かったぁ〜…と可愛らしい笑顔を浮かべながら言った。

雄也君はどっちかと言うと可愛い系男子だな。


人懐っこい笑顔を常に浮かべているイメージがあるし…クラスでも人気者というかムードメーカー的な存在だ。

それに人ってさ、自分よりちょっとバカな人を好む習性があるらしいし…ほら、雄也君って成績…万年最下位らしいし。


「あと、2つ目な。

お前、確か『星空』だったんだろ?おめでとう!

結構羨ましかったりする!」


へへっと言いながら素直そうに笑う彼を見てると、自然と笑みがこぼれた。

この学園で言う『星空』とは、能力者の事で、決して夜空の方じゃない。


星空使い、っていちいち言うのが長い!

って人が勝手に言い出したのが『星空』



言うなれば、星の一族間での業界用語とか、そんな感じ?


「嬉しいけど…私はまだ自分の能力について知らない事がたくさんあるし、生かして切れてない気がする。

まだまだ未熟だし、ね」



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