働き者の彼女は臆病者
だけど、なにかが足りない。
恋人の存在??
いや、別に彼氏が欲しいわけでもない。
28歳。
アラサーとはいえ、焦ることもない。
周りが結婚に焦っている姿を見て、どこか距離を置いてしまっている。

「彼氏が欲しいとかじゃなくて…その人と一緒に居たいとか、
そう思える人が出来れば彼氏になったりするものじゃないのかな。」

いつも、
「彼氏欲しくないの?」
と聞かれた時に返す多恵の決まった返しだ。

『別に求めていない』

周りからは、そう思われている。
確かに、求めていないのかもしれない。
かといって、結婚願望がないわけではない。
多恵が求めているもの。
口に出すのは恥ずかしいかもしれないが、
それはきっと『胸いっぱい満たされるような愛』

しかし、そんなものは存在するのだろうか。
年を重ねるごとに恋愛に臆病になっていくとはよく聞くことだが…。
それは多恵も同じだ。

そんな多恵にも胸が満たされたような恋愛がなかったわけではない。
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