働き者の彼女は臆病者
高校1年の春。
入学して間もなくして初めての彼氏が出来た。
中学時代の同級生の拓巳は、中学3年で同じクラスだった。
学年でも成績も良く、
明るく男勝りで適度に悪さをしでかしていた多恵は一際目立つ存在だった。

一方で、拓巳は、成績は良いが、おとなしく控えめな目立たないタイプ。
2人は正反対のタイプ。
多恵は、そんな拓巳の事をよくいじっていた。
そのせいか、拓巳と付き合い始めた時は、
2人を知る周囲はかなり驚いたようだった。


中学を卒業して2人は別々の高校に進学した。
全くタイプの違う2人は、その後交わるることなどないと思っていた。
そんな2人が連絡を取り合うようになったきっかけは、
拓巳が携帯電話を持ち始めたことだった。

おませの多恵は、既に小学6年生から携帯を所有し、
中学時代は授業中も友達とメールをして先生に見つかっては叱られて。
思春期だったあの頃。
(目立たない、言ってしまえば『ダサい』存在として見ていた拓巳が携帯を買っただと!)
それをネタにまたいじってやろうと多恵は思い、
友達に早速メールアドレスを聞いた。
それから、2人のメールは始まった。
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