このよでただ、独りだけ
「あなたが、私の家族を殺したんですか」

口調こそ丁寧ではあるもののアレクシアは全身から殺意を迸らせながら問いかける。

そんな殺意には全く動揺せずに男はへらへらと笑った。

「ごめんね、可愛い娘。君の家族だったのならちゃんと最後の姿を見せるべきだった」

「その呼び方を止めてください。不愉快です」

男に対する殺意は冷めないものの武器になるようなものは何一つ持っていないアレクシアは少し冷静になってそう言った。

「ああ。ごめんね、可愛い娘。だって俺は君の名前を知らないから」

男はへらりと笑って再びそう言う。
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