帰ってきたライオン

画面いっぱいいっぱいにはグリーンと(こうなったらもう絶対に『さん』はつけない)羊君の戯れている写真。
満面の笑みで肉をかじっている。

後ろにはきれいな真スカイブルーの海が見えるのでビーチかどっかだろう。

BBQをしているんだと思う。うっすらと野菜の乗ったBBQセットが写っているから。

羊君が肩を組む形で仲良く3人で肉をかじっている写真。
両サイドにはグリーンとその子供。ってことはこの写真を撮ったのは友達か家族かのどちらかだろう。

日本にいたころなんてぜんぜんこんなのしたことないのに。
海外に行ったとたん、染まってる。

「真スカイブルーは言い方的にどうかと思いますけど、これはいただけませんね。グリーンさんこれ挑発の何物でもないじゃないですか。そうとらえられてもおかしくないですね」

「グリーンってやることすごい。普通こんなことしないよね、できないよね」

「落ち着いて。これもまた羊さんにも送ってますから。でももしかしたら羊さんはこのメールも前に送ってきているメールも読んでないって可能性もありますね」

「何考えてるんだろ。そうだよね、読んでたらなんかしらアクション起こすよね」

「普通に考えるとそうだと思いますが……彼のことなので特に何も考えてないんじゃないですかね。ほんと、何回も言いますが、あの人のことなので」

正直、怒りと切なさが半々。
なんでそう思ったのかっていうと、きっとわたしの中にはまだ羊君が居座っているから。ほんとまじでごめん。

心と頭ではもう終わっている、なんとも思ってないと思っても、いざ、目の前にそういう写真が出されると人間我儘なものでくやしくなるもんだ。

こんな醜い人間じゃなかったのに。
と、思って自分にショックを受けてみたりする。

っはーーーーーー。

「ため息は不幸の始まりですよ。ひとつ幸せが逃げてきます」

「……」

「どうしますこれ?」

「グリーンに連絡する前に、羊君に言う」

「そうですね、それもいいかもしれないですね」

「でもさ、連絡してもLINE返ってこないじゃん。居る場所さえ分かればいいんだけど。この勢いを止めないで放っておいたらもっとヒートアップしそう。早めにどうにかしたい。私としても早々にどうにかしたい」


こちらの都合は考えず、自分の思う通りに事を運ぼうとする。

更には、どうしても自分のものにしたいと思った場合、手段は選ばない。どんな状態であれ、風は自分の方に無理矢理でも向ける。

こと、異性間のこととなると如実に示してくる女、


それが、グリーン・ホワイトウッドだ。



と、思った。


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