帰ってきたライオン


しかしてあれから五年


月日が過ぎ去っていくのって本当に本当に本当に、
本当に早い。

羊君がオーストラリアへ旅立ってから今日で丸々、
丸っと五年が経った。

連絡はこの五年一度もない。

いや、最初に一度だけあった。

『着いた。暑い。ライフラインが起動するまでに時間かかるかも。
ってかパソコン繋いだら連絡する。それまで待ってて』

オーストラリアへついて電話を買ったらすぐに連絡をすると言い張って成田からぴゅーっと飛びたったのはいつの日か。





あいつは私に嘘をついた。




メールも電話も毎日するって言ってたのに。正確には最初の二週間のみでその後、一っ度もない。

風の当てにならない噂ではオージーの彼女ができたのなんの、現地で日本人の彼女ができたのなんのと耳に入る噂は喜ばれるものじゃあなかった。



正直もう腹がたつの通り越して呆れてる。

空気だよ空気。

この際もう空気にしてしまおう。

そうでもしなきゃやってられない。
< 4 / 164 >

この作品をシェア

pagetop