帰ってきたライオン

それがまさかのこうをかなで、上田さんは人が変わったように真面目にさくさく働いてくれるようになった。

さてこれはその彼のおかげさまか。
果たしてそんなに格好いい人なのか、不思議ではある。

しかしながらそのおかげで私はこうして今までよりも楽に、よく回りを見て仕事ができるようになったのだから、結果オーライ。

相変わらずの残業はつきものだけど、好きでやってる仕事だからもんくは言わない。

どんな仕事もそうだろう、嫌なところってある。
嫌なところをみつけるのは簡単。でもいいところを探してそこを見て、それを心の支えにするのって、以外に難しい。

だから、なるべく後者でありたいと、そうあろうと心がけている。


もう今年のクリスマスで28になる。

かれこれあれ以来彼氏はいない。

羊君との約束、『だれともやっちゃダメ』は、いまだに守り抜いているが、そもそも忙しさにかまかけて恋愛放棄をしているだけともいう。

「はぁ。またひとつ年をとる。ほんと、そろそろ誰か探さないとやばいな」

結婚の二文字が頭をよぎり、なんだか急にそわそわし始めたりもして、いかんいかんと頭を振った。

< 8 / 164 >

この作品をシェア

pagetop