~Special Short Story~



「じゃあ、やっぱり明莉に気があるのかな。それか、渡す相手を間違えたとか?」


うんうん、その線は有り得そう。


「間違えただけかもしれないし、明日手紙返してくる!」


「そうじゃなければ、この手紙を渡した星村くん可哀想だよ。もしかしたら、本当に明莉に渡したのかもしれないし」


そう言って苦笑する弥生。そう言われても、信じきれない自分がいるし……やっぱりこの手紙は返そう。






「……とは言ったものの」


翌日、私はいつも通りの時間に来るバスに乗った。乗ったはいいんだけど……星村くんがどんな人か覚えていない。


後ろの方の席に高校生集団がいるのは声で分かるけど、話しかけるなんて無理。カバンには、あの手紙を入れて来ているけど、どのタイミングで渡せばいいの?


それに、もう降りるバス停に着く。高校生の集団も降りるだろう。


バスのアナウンスで停車が告げられると、まもなくしてバスが止まった。高校生集団がゾロゾロとバスから降りる。


後ろ姿が似たような男の子達だから、もちろん、星村くんがどれかなんて分からなかった。



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