~Special Short Story~



そしてバスが発進。2つ先のバス停で私は降りる。あぁ、手紙返しそびれちゃったな。相手もきっと、間違えて渡したことを後悔してるに違いない。


「次は大学前~」


降りる準備をする。バスが停車すると、私は席を立ち上がり、定期をかざしてバスを降りた。


ダダダダ!


すると、後ろから足音が聞こえた。不思議に思い振り返ると、私の目に映った人物を見て驚いた。


「これ」


昨日のブレザーの男の子、星村くんだ。彼の手には昨日と同じ白い封筒が握られていた。あ!封筒!急いで自分の鞄をあさる。


「はい!これっ。昨日もらったんだけど、人違いだよね?返すね」


「いや……人違いじゃないっす」


「へ?」


「これも、あなた宛です」


私が差し出した手紙は受け取ってもらえず、新たに別な封筒を渡され、星村くんは駆けて行った。


また……手紙が増えちゃった。封を切り中に入っている1枚の紙を取り出す。



─────好きな食べ物はオムライス、好きな色は黒、最近バンドを始めました。



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