~Special Short Story~



「そうそう。一時の冷やかしだって!」


ニコニコして言うサヤ。


「それに、ずっと探してた生徒手帳がやっと手元に返ってきたから、それだけでもよかったじゃん?」


シズの言葉にあたしは渋々頷く。


実は、さっき返してもらった(奪い取った)生徒手帳は、約1ヶ月前に 無くしてて、必死に探していたところだったのだ。


あの先輩が言っていたように、この生徒手帳にはあたしの恋心が綴られている。


だからこそ、他人には見られないようにって毎日大事に持ち歩いていたのに……。


「なんで落としちゃったんだろ~」


赤の他人にあたしの恋を知られるなんて。落ち込むあたしを慰めてくれる2人だけど、気持ちは浮かないまま。


「それにまたなって言われたんだよ!?あ~もう嫌だぁ」


小さく呟きながら、窓の外を不意に見た。校庭でサッカーをしている男子の中に、あたしの好きな人の姿があった。


「ううっ、目黒くんカッコイイ~」


「出たよ、未紀の目黒観察!」


「見れてよかったじゃん」


シズとサヤがニヤニヤしながらあたしを見る。


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