カッコイイオトコ
「来いよ」
力任せに引っ張られたので抵抗しようとしたけど、全然ダメだった。
もぎ取られそうなくらい強く握られた手首を振りほどくことが出来ずに、そのままズルズルと引っ張られた……のだけど。
「ぐあっ」
短い悲鳴が聞こえて、私は痛みから解放された。
同時に体も開放されて、フラッと前によろけたところを、ぽすん、と受け止められた。
ふわりと漂う、マリンブルーの香り。
……顔を上げなくても分かる。
覚えのある力強い腕に抱かれて、涙が滲んできた。
「大丈夫ですか?」
耳に心地よい低すぎない甘い声に、涙腺が決壊した。
「はい……」
顔を上げずにそう答えると、クルリと後ろに庇われた。
「何だよテメエっ!」
いきり立つお兄さんたち。
「マユさん、大通りまで走って」
「えっ……」
顔を上げた瞬間、ハルヒコくんに殴りかかってきたお兄さんが見えた。でもハルヒコくんは私を庇っているからか、微動だにしないでその拳を頬で受け止めた。
力任せに引っ張られたので抵抗しようとしたけど、全然ダメだった。
もぎ取られそうなくらい強く握られた手首を振りほどくことが出来ずに、そのままズルズルと引っ張られた……のだけど。
「ぐあっ」
短い悲鳴が聞こえて、私は痛みから解放された。
同時に体も開放されて、フラッと前によろけたところを、ぽすん、と受け止められた。
ふわりと漂う、マリンブルーの香り。
……顔を上げなくても分かる。
覚えのある力強い腕に抱かれて、涙が滲んできた。
「大丈夫ですか?」
耳に心地よい低すぎない甘い声に、涙腺が決壊した。
「はい……」
顔を上げずにそう答えると、クルリと後ろに庇われた。
「何だよテメエっ!」
いきり立つお兄さんたち。
「マユさん、大通りまで走って」
「えっ……」
顔を上げた瞬間、ハルヒコくんに殴りかかってきたお兄さんが見えた。でもハルヒコくんは私を庇っているからか、微動だにしないでその拳を頬で受け止めた。