カッコイイオトコ
いつになったら話し始めるんだろう……。

なんて気になって見ていたら。

氷のように冷たかった彼の顔が、フッと春の日差しのように柔らかく変化した。


ドキン!


一気に心臓が跳ね上がる。


「良かった…」


初めて発せられた声は、低いわけじゃないけれど、静かで、甘い。

こんな声を聞かされる電話の相手って、やっぱり彼女、なのかな……。

ドキドキしながら男を眺めていると、通話が終わったのか、携帯電話を折りたたんだ。

そして一言。

「明日は晴れか…」

「えっ!?」

思わず口に出して言ってしまった。

ど、どういうこと!?

私の声に反応して、男がこちらを見た。噴水の飛沫に太陽の光が当たり、辺りがキラキラと輝く。

「…何か?」

怪訝そうな男の声に、私は慌てる。
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