私を、好きになれば良かったんだよ
おまけ


結論から言うと、
恭吾は葛西さんと付き合ってなかったらしい。


え、そんな。


「勝手に噂が回ってたしな」


「きょ、恭ちゃんさ、それちゃんと否定してよっ!
そういう無口っていうか、ものぐさな所があるから人のこと勘違いさせるって自覚、ちゃんと持って!?」


葛西さんだって、付き合ってるという噂を恭吾が否定しなかったから、ああいうふうに恭吾が自分のものであるかのように振る舞ったのだろう。


恭吾にだって責任はある。


「もー、恭ちゃんの無口なとこってマイナスに働くこともあるんだからねー」


いつもの帰り道。
隣同士の家だから、たまに帰りが一緒になるといつもこうやって話しながら帰る。


けれどこれからはずっと一緒に帰れるのだと思うと、少なからず胸が踊る。


恭吾の横顔を見つめる。
西日があたって柔らかい橙色の光が彼を透かして、少しだけいつもと違って見える。


「……でも今日は」


「ん?」


掠れるような恭吾の声を掴まえるために、彼の方へ寄る。


「今日は、最大限にプラスに働いたろ」


ぎゅ、と手を握られて、ぶわっと顔が熱くなる。


「………そう、かも」


葛西さんと付き合ってるなんて噂を知らなかったらきっと、私はまだ彼への気持ちを自覚してないままで。
今回ばかりは、プラスに働いたって認めてもいいかもしれない。


「恭ちゃん、好きだよ」


えへ、と笑うと、また恭吾は無口になった。
無口でも何を思ってるか、私にはちゃんと分かる。


この人は、私のことをずっと前から好きなのだ。


end.


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