生徒だけど寮母やります!⁑
嬉しくなった私は更に、爽馬と話してみたくなった
「よし、そろそろ行こうか。それでさ」
「?」
保健室を出ながら、私は爽馬に話しかけた
「何か食べてみたいデザートとかないの?」
私の質問に、爽馬がぽつりと呟く
「............ところてんが食べたい」
あまりに切実そうに言うから、私は思わず笑ってしまった
「あはははっ、良い!ところてん私も食べたい!」
「たまに、食べたくなる」
「わかるなぁ。でもところてんはデザートかな?」
「黒蜜で食べたらデザート。三杯酢で食べたら......デザートじゃないかな」
「私三杯酢派!」
こうやって爽馬と楽しく歩いてることに、自分でも少し驚く
「三杯酢、いいよね」
爽馬がふわりと笑う
「爽馬は、ところてんが好きなんだね」
「..........屋敷にいたころによく出されてただけ。夏、縁側でそれを食べながらししおどしの音を聴くのがすきだった」
「素敵だね......!」
妖狐の屋敷の事だろう
きっと
爽馬は妖狐の屋敷が好きだったんだろうなぁ......
もっと、爽馬に自分のことを話してもらいたい
もっと打ち解けて欲しい
私とも、皆とも
私は、無表情で、しかし嬉しそうな爽馬の横顔を見ながら校舎を出た