あなたを待つ夜
優子は給水室でコーヒーを淹れていた。すると豊が入ってきた。

「お疲れ。昨日はよく眠れた?」

豊は紙コップを手に取りながら、本当に小さな声で言った。

「お疲れ様です。はい、なんとか」

「なら良かったけど」

「ありがとうございました」

「いーえ。俺こそありがとね」

豊はふと微笑み、優子の肩をぽんと叩いて給水室を後にした。

ああ、彼の格好良さは反則だ、と優子は思った。
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