あなたを待つ夜
「いらっしゃい」「いらっしゃいませ」

あれ……。

優子は思わずハッとした。

「今入れます?一人なんですけど」

「全然大丈夫よー。座って座って。外、雨ひどかったでしょう」

「弱くはなってきましたよ」

男は友里恵からおしぼりを受け取りながらそう言った。

そして、おしぼりで手を拭きながら優子の方をじっと見つめる。

「……優子?」
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