calling
だから、少しだけ強く
俊輔さんの左手を私の右手で
…ぎゅっとした。

でも、俊輔さんには恋人が居る。

駅の近くになってきてるけれど
人通りが少し少ない道で

不自然に足を止めて
見つめ合う私と俊輔さんは
それを含めて、自然だった。

繋がれていない俊輔さんの右手は
そっと…私の長めの髪に触れて
頬を触っていた。

なんだか泣きそうになる私は
目を閉じて…
俊輔さんの唇を受け止めた。

優しいキスだった。

静かに離れた唇に気付いて
目を開けると俊輔さんの右手が
私の頬から離れていた。

「ごめん…。俺…。」

繋いでいた俊輔さんの左手が
離れそうになっていた。

「もう1回…

…してください。」
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