僕らのはなし。①
15.Wデート。


コンクールが終わっても、私から伊崎に連絡を取るという事はなく、向こうからも来なかった。

「はぁ…どうして連絡しないの??」
コンクールのレッスンであんまり出られなかったバイトにも復帰して、一緒に働きながらそうため息混じりに柚瑠が聞いてきた。


「何でかな?
私は今一つ、アイツとちゃんと付き合ってるって思えてないのかも。
大体あの俺様と私が釣り合うとも思えないし。」
「ようは…自分に合わせてくれるのか、ホントに想われてるのか不安って事??」
「そうなのかな??」
私は曖昧にそう答えた。


「よし!
分かった!!
Wデートしよう。」
「Wデート?
誰と誰が??」
「湊と伊崎さんと、私達。」
「私達って…柚瑠、彼氏出来たの??」
提案よりも親友の初めての彼氏の話の方が気になった。

「うん。」
「どんな人?
どうやって知り合ったの??」
「明るい私達と同い年の人。
出逢いのきっかけは夏休みに学校の友達と歩いてると声かけられたの。」
「ナンパ?
大丈夫なの、それ??」
「何回か会ったけど気の良い感じの人でね。
付き合い始めてからのデートは初めてだから湊達がいた方が私も緊張しないと思うし。」
「でもなぁ…。」
「その時、伊崎さんがちゃんと湊に合わせてくれるのか。
どう思ってるのか確認出来るし。
ねっ?良いでしょ??」
「…うん、分かった。」
ナンパって聞いて不安に思ったけど、柚瑠が幸せなら良いと思って、深く追及しなかった。

迷っていた私だったけど、可愛い柚瑠のお願い攻撃に負け、折れる事に。

私がそれに弱い事知ってるからな。







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