SweetS Time ~君はマシュマロ~
じつは最近、悩みがある。
女子にとって、とても深刻な悩み。

わたしのことを想って、用意してくれた一樹の気持ちを考えると、胸がいっぱいになるけれど、どうしよう……素直に喜べない。



なんだ?
理子はどうして眉間を寄せながら、潤んだ瞳で見つめ返してくる?

こう、花がぱっと咲いたような満開の笑顔はどうした?

理子に浮かぶ笑顔を、信じて疑わなかった一樹が、心の中で首をかしげる。

甘い物が大好きな理子。
いつもみたいに、スイーツを前にすると目をキラキラさせて、これ以上の幸せはないというくらいの、とびきりの笑顔を浮かべているはずだろ?

なんだ?
理子の反応が想定外だ。

何年も芸能界にいると、何人ものきれいな女、可愛い女を見る機会が多い。
作られた笑顔、作られた性格……俺の気を引くために、自分をよく見せようと、作られたものにうんざりしていたところに、同窓会で美味しそうにスイーツを頬張る理子を見つけたんだ。
気取るわけではなく、演技でもなくて、純粋にスイーツを食べて幸せそうに喜ぶ姿に、いつかその笑顔が、俺に向けられたらと考えるようになった。
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