詐欺師の恋
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24時間営業のファミレス。


閑散としている店内は、席が選びたい放題だ。




「俺、ちゃんと言ったと思うけどな。家に行くって。」




向かいの席に座って、和食御前の味噌汁を啜る中堀さんは、ぷりぷりしている私を見て、不思議そうに呟いた。



私、櫻田花音は、色々訳あってこの天使のような悪魔に愛というものを教え込むことになったのだけど。




「た、確かに言いました!けど!それは私が何処に行くのか訊いたからでっ、決して中堀さんから言ったわけじゃないです!」




口を尖らせて、和風おろしハンバーグをフォークに突き刺した私に、中堀さんはにっこりと微笑む。





「でも、やだって言わなかったし。」





「…確かに嫌とは言ってないですけど困りますって言いました!」






色々前途多難。明らかに良い様に使われているようにしか思えない。




なのに、私の心臓はこの茶色い目とさらさらの金髪、甘い唇に、きゅんとする。




そうだよね。一昨日引越したばっかりじゃ、片付いてるわけないよね。



そうやって自分を納得させようと脳は勝手に働き始める。



それに。付き合ってるわけじゃ、ないし。



…だけど。




だけど、朝のあの甘いキスは一体なんだったの!?ってやっぱり思う!

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