詐欺師の恋



数ヶ月前の月曜の夜。






本当は、あの時に、別れを告げるつもりだったのかもしれない。





電話口ではしゃいだ自分が馬鹿みたいだ。






大掃除を寒い中したせいで、風邪をこじらせて、結局会えなかったけれど。







中堀さんはあの日、家の前に来たかな。







後悔するのは。






中堀さんからの、電話に、出られなかったこと。




電話して、と言われたのに、しなかったこと。




どうして、電話したのか、理由を訊かなかった事。







それから。




ポストに鍵を入れておく約束を、守れなかったこと。







なんでかな、それだけが引っかかってるの。




どれも、中堀さんにとっては、なんでもないことなのに。







あとは。





あの時に、中堀さんの傍を離れたこと。





なんだ、結構いっぱいまだあるじゃん。








ねぇ。





貴方がくれるキスはやっぱり。






苦いよ。

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