詐欺師の恋
葉月の恨みがましい目つきに俺は大げさに反応する。
「お前がガキの癖に、大人な俺様に向かって難癖つけるからだろ、アホ!」
しっしっと出口の方へ手を振れば、少女は悔しそうに唇を噛んだ。
「…ほら、邪魔になるから。葉月。」
何か言い返そうと再び口を開こうとした葉月に対し、燈真が有無を言わせぬ口調で、ドアへと追いやる。
「ざまーみろ。」
俺はあっかんべーと舌を出して、その様子を見送る。
「崇・・・お前もいい加減にしろよ。小学生相手に…」
燈真は痛いものでも見るかのように俺を見て、いつも通りの呆れた溜め息を吐くが、俺は葉月に勝利したような気持ちで早々にカウンターに向かう。
だが。
出て行く直前、葉月はくるりと一瞬だけ振り返ったらしく。
「…にわとり頭!トサカたててばっかみたい!」
俺の背中に罵声を浴びせ―
「こんのクソガキ…」
俺が向き直った時には、既に走り去っていた。