詐欺師の恋
「何、飲む?」
「カンパリオレンジ。」
ただでさえクラブだし、その上肌の露出が多い季節。
心の中で万歳を唱えながら、俺は値踏みを始める。
「燈真、こちらのかぁーわいい俺の連れに、カンパリオレンジをちょうだい。」
「…了解。」
一瞬燈真の顔に俺への不満が表れたが、トキコには目が合った途端、営業スマイルで返していた。
恐らく、『今日何しに来たのかわかってんのか』的なことを思っているに違いないが、待ち人がちっとも来ないんだから致し方ない。
「実はぁー、ちょっとタカのこと、避けてたのぉ。だから月曜日に来てたんだけどぉー」
「なぁーんで避けるの?いいじゃん、俺に会いたかったでしょ?」
言いながらも、俺はこの女は面倒そうだ、と思い始めていた。
ちょっと相手して、その後ほったらかしにしたからといって、避けるような女だ。
フレンチな関係は無理だろう。
やっぱり二度目はないな。
「んー?まぁねぇ、ふふ。でもね、今は違うの。」
ん?
トキコの言い回しに、若干の回りくどさを感じるのは、俺だけか?
俺ははた、と顔を上げた。
「超本命!な人ができちゃってぇ。まだ名前も知らないんだけどぉ…それが月曜しか来ないのよ。」
そう言って、トキコは薄らと頬を染める。