詐欺師の恋
「…久しぶり。」
掛けられた声に、上目遣いに藤代くんを見上げると、彼は小さく笑んでいた。
疲れているかのような表情に、緊張が少しだけ解れる。
「忙しいの?」
「…まぁね。」
でも、と続けながら、藤代くんは私をじっと見る。
「櫻田に中々会えないのが、一番キツイ、かな。」
どこから吹いてきたのか、桜の花びらが、ひらりと2人の間を割って入った。
「……それも、嘘?」
気付けば、そんな言葉が口を衝いて出ていた。
見つめた先の藤代くんの瞳が、微かに揺らいだように見える。
「何が?飯山先輩に何か言われたの?」
「―私が熱を出したあの日、本当は中堀さんと会ったんでしょう?」
私は小さく深呼吸して、被せるようにそう言うと、藤代くんをじっと見つめた。
藤代くんは答えない。
「ずっと、おかしいと思ってたの。…藤代くん、いつだったか私に言ったよね。」
私の頭の中には、藤代くんが私の事を好きだと言った、あの夜が浮かんでいる。
―『中堀、、、さんって…』
―『自分から、櫻田の兄だって言ってなかった?』
「なんで、それを、藤代くんが知ってるんだろうって。」
私の記憶が正しければ、中堀さんから直接それを言われたのは、社内で2人だけの筈だった。
掛けられた声に、上目遣いに藤代くんを見上げると、彼は小さく笑んでいた。
疲れているかのような表情に、緊張が少しだけ解れる。
「忙しいの?」
「…まぁね。」
でも、と続けながら、藤代くんは私をじっと見る。
「櫻田に中々会えないのが、一番キツイ、かな。」
どこから吹いてきたのか、桜の花びらが、ひらりと2人の間を割って入った。
「……それも、嘘?」
気付けば、そんな言葉が口を衝いて出ていた。
見つめた先の藤代くんの瞳が、微かに揺らいだように見える。
「何が?飯山先輩に何か言われたの?」
「―私が熱を出したあの日、本当は中堀さんと会ったんでしょう?」
私は小さく深呼吸して、被せるようにそう言うと、藤代くんをじっと見つめた。
藤代くんは答えない。
「ずっと、おかしいと思ってたの。…藤代くん、いつだったか私に言ったよね。」
私の頭の中には、藤代くんが私の事を好きだと言った、あの夜が浮かんでいる。
―『中堀、、、さんって…』
―『自分から、櫻田の兄だって言ってなかった?』
「なんで、それを、藤代くんが知ってるんだろうって。」
私の記憶が正しければ、中堀さんから直接それを言われたのは、社内で2人だけの筈だった。