詐欺師の恋
詐欺師の恋
誰かが、死ぬのなんて。



慣れてる。




誰かが、居なくなるのなんて。



日常茶飯事だ。





父親だと思っていた人が、ひとり、消えれば。



また、違う人が、ひとり、来る。



それが変わると、また違う人が。





繰り返していたら、ずっと居た母親も、消えた。




俺に関わった、あの人も。



俺が帰らないまま、死んだ。




騙す人間も、次から次へと。





だから、慣れてる。




誰かがいなくなることも。



誰かが死ぬことも。




何かを、諦めることも。








そう、思ってた。

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