Baby boo!

足元でおいおい泣き真似をする仁菜。

「これは朝になったら返してやる」

「あぁ、もしこれでハム子のストレスが溜まったら……」

「溜まったら何だよ?」

「…………」

問い詰めるようにそう聞くと、次の言葉が出てこないのか口ごもってしまった。

「えっと、溜まったら、ほ、ほら十円ハゲが……っ!」

しばらくの沈黙の後、苦し紛れに出てきたその言葉。
しかし、そんなことよりもこの部屋はいつになったら綺麗になるんだろうか。

「部屋綺麗にしとけって言っただろうが」

「こ、これでも、少しずつ綺麗にしているところなんです」

確かに言われてみれば、漫画本がカラーボックスに収納され、一部の服を畳み始めている形跡がある。
まぁ、努力しようとしているのは認めてやろう。


「どうか、どうか、出て行けなんて言わないで下さい~」

以前、部屋を掃除しなければ出て行かせると脅したのを覚えていたのか、俺の足元に縋りついてきた。

「やめろ、縋りついてくるなっ」

そんな奴を払いのけて、車輪を手に自分の部屋に戻った。
あぁ、これでやっと平穏な夜を取り戻せる。


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