Baby boo!
しかし後輩に心配されてしまう程、俺の体にはガタがきているらしい。
まぁもう30台差し掛かって、若いとは言えない年代だ。
多少のムリがすぐに体に出てしまう。
夜勤少し減らすか……。
あの厄介な同居人がいる間だけでも。
なんて考えながら帰ってきた、明けの昼間。
今日は仁菜も休みだったようだが、どこにも出かけた気配はなかった。それなのにいないんじゃないかと驚く程静かに部屋で過ごしていた。
そうだ、奴はリビングなどを汚してもある程度はちゃんと片付けるし、夜間や俺が寝ている日中はヘッドフォンをしてゲームをするなど、ある程度人に配慮できる奴だった。
なんて少し、感心しながら眠りについたその日。
夕方起きてリビングのテーブルに置いていた財布を持ってコンビニへ。
目当てはスポーツ新聞と、軽食。
そこでふとした違和感に気付いた。
……財布の中の札が少ないことに。
もしかして……。
疑いたくないが、テーブルの上に置いておいてなくなるとしたら仁菜が取ったとしか考えられなかった。
家に帰って早々、仁菜と部屋へ。
奴はいつものように、ヘッドフォンをしながらゲームをしていた。
「そんな、怖い顔してどうしたんですか……?」
「お前、俺の財布から金取ったか?」
「え?」
「いいから、答えろ」
「す、すいません……」
そうやって謝った仁菜にため息をついた。
……こういうことはしない奴だと思ってたんだけどな。
やっぱり見知らぬ人間と2人で暮らすっていうのが無理だったんだ。
「悪いけど信用なくしたわ。出てってくれるか。あとで住むとこ決まったら、荷物まとめて送ってやるから」
「あ、彰人さん……っ」
「人の金取る妹なんていらねぇよ」
そもそも、妹だと認めた訳でもなかったしな。