俺だけが知っている
俺だけが

「……ぁ」

隣を歩いていた莉菜が小さな声をあげる。


その目線の先を辿ると一着のワンピースがあった。
キレイなシルエットをしているけれどどこか可愛らしさもあるデザインで、彼女によく似合いそうだ。


「……買う?」


そう言って莉菜の顔を覗きこむと、彼女はハッとした顔をして


「ううん。いらない」


小さな声で首をふった。


(まだ怖いのか……)

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