俺だけが知っている
俺が出会ったときの莉菜はまさにその状態だった。
当時の彼女の格好といえば
ダボダボっとしたオーバーオールに目深にかぶったキャップ。
キレイな茶色の髪もいつも必ずキャップの中に押し込んでいた。
必死で外見を目立たないようにしていて、だけどどこか寂しそうな雰囲気を纏っていた。
必死に口説いて徐々に俺を信頼してくれるようになって、やがて付き合い出して
彼女の纏っている鎧は無くなってきたように見えるけど、やはり今日のようにまだ残っている部分もある。
そんな鎧を全部捨て去るくらいに俺の隣では安心させていてやりたかった。