俺だけが知っている
「え?何?」
「いいから開けて」
「なにー?なんか変なものじゃ……これ……!」
袋から出てきたのはあの時莉菜が目を止めたワンピース。
本当はかなり莉菜の好みのはずのワンピース。
「………恭弥が着るの?」
「んなわけあるか!!……莉菜にだよ」
「……でも私……」
「もう色んなこと気にしなくていいからさ、俺といるときくらい着たいもの着ればいい。……怖がらなくていいように、俺がちゃんと守ってやるから」
「……」
「……着てみて?」
莉菜は黙っている。
けれどしばらくしてそっと俺に体重を預けてコクンと頷いた。