海の花は雪・2

〈ハル→高田さん〉      「ゆれる記憶…」

…誰かが呼んでいます…

私はどこにいるのでしょうか…?

白い廊下がどこまでも続いていて、右手の壁を良く見ると部屋があるらしく扉が付いていて、のぞき窓から部屋の中を見る事が出来ます…

吸い込まれるように部屋の中をのぞくと、白い窓一つない殺風景な部屋に、ベッドとシンプルな机とイスが置いてあります…

私は以前、ここに来た事があるのでしょうか…?

″フィル…フィル…″

やはり誰かが私を呼んでいるようです…

その声はささやくように、優しく頭の中にしのび込んできて、あらがう事が出来ません…

″フィル…フィル…″

次の部屋の窓をのぞきながら、私の意識が危険を告げているのが分かりましたが、声の主を探すのを止める事が出来ません…

″行ってはいけないよ…″

心の声が次の瞬間、かき消されました…

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