トモヒーとアイツの何日間(3)
「おわっ!なつかし!!」
海老名市街を歩いているとミニ四駆のコースが置いてある模型屋があった。
ちょうどミニ四駆全盛期だったのではしゃぐ。
「ちょっと見てこうよ!?」
「あ?あぁ。」
ハッシュは何故かやけに興味なさげだ。
ハッシュだって25~6なのにこの反応はなんだ?

俺は年甲斐もなくワクワクしながら薄汚れたガラスの扉を開けた。

中は、横に一間、奥に四間ほどの鰻の寝床のように細長い店内だった。
陳列棚にはプラモデルが所狭しと積まれ。
ミニ四駆の他にガールズパンサーの戦車や、ガンプラなどが売っていた。
うちの家はミニ四駆を買ってくれない程しつけに厳しい家だったので、こうして手に取るのは初めてだった。
意外にパッケージが小さいミニ四駆。
昔、これがどのくらい欲しかった事か・・。

「に、二条城がある!」
ハッシュが二条城の模型を持って俺に言った。
食いつく場所が違う気がしたが・・まぁ、いいか。

「ホームランチョコも売ってるんだね。」
ハッシュの二条城はさておき、プラモデルの奥に駄菓子もある事に気付いた。
「買うなら当ててよ?当たりくじを第三武会が集めてるからさ。」
ハッシュが、二条城の本丸をいじりながら変な事を言った。

「・・えっ。第三武会?」
思わず聞き返す。
「妄霊退治の依頼をする団体だよ。あれ?言わなかったっけ?」
「はー!?言わないもなにも初耳なんですけど!!」

「え?そうだっけ?」
ハッシュが本丸の屋根を外そうとしながら言った。
・・今さらながら思うが、このとぼける癖、狙ってやってるのだろうか?

「そろそろ教えてくれてもいいんじゃないの?」
俺が腕組みしながら言うと、ハッシュが外した本丸の屋根を手のひらに乗せてこちらを見た。

「・・わかった。トモヒーに全て話すよ」
ハッシュは溜め息をついて言った。







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