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「大丈夫。大体の事情は聞いてるから」

口の前で人差し指を立て、微笑んで見せる椎名先生。

あれだけ念押しされたのに椎名先生には話すんだ…

私はあなたより彼のことを知っているのよ?とでも言わんばかりの大人の余裕な感じに未成熟なあたしはこっそりと腹を立てる。

何だか“お兄ちゃん”を取られたような複雑な気持ち。

「それで何が気まずいの?」

「それは… あの…」

さすがにパパの話まではできない。

いや、したくないと言った方が正しい。

昨日の今日であたしも全てを受け入れられたわけではない。

「…少しだけ外の空気を吸いに行ってもいいですか?」

わざと話題をすり替える。

だけど外に出たいのは本心。

「うーん。そうだな… 日向くんの許可が出たらにしようね?」

電池が切れかけたあたしだからこそ、ここは慎重に… という先生の考えは嫌という程分かっていた。

ただ病院から抜け出すわけでもないのに、ベッドに監禁されたまま

単独行動が許されない事実に不満を感じずにはいられなかった。

甲ちゃん、まだ終わらないかなー…

実に勝手な考えだが、彼が来るまで頭はそのことで一杯だった。
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