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「ハァハァ…」

熱があがったのか次第に体力が奪われていく。

「…大丈夫、絹は俺が絶対治すから」

「… っ!?」


『大丈夫だよ。早く大人になって、お医者さんになる。僕が絶対治してあげるから』


一瞬にして記憶の残像が蘇る。

甲ちゃんが“お兄ちゃん”…?

いや、その頃甲ちゃんはアメリカで暮らしてたんだよ?

帰国してたとしても少しの間だろうし、その間あたしはずっと入院していたんだから

タイミングよく会っている可能性は限りなく低い。

でも、もしそうだとしたら…

「今日こっそり抜け出したんだって?無茶するなよ… 少し(胸の)音、聞くね?」

ダメだよ、今聞かれたらドキドキしてるのもばれちゃう。

「ゆっくり呼吸して…」

ひんやりとする聴診器が胸に当てられる。

だけど、その最中に見つけてしまったんだ。

かがんだ瞬間、甲ちゃんのシャツからこぼれ落ちたネックレスに通された指輪を。
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