sEcrEt lovEr
あの火災事故から数日後、まだ滞在日数も残っていたに関わらず彼は再びアメリカに旅立った。

それは現実逃避以外の何物でもない。

なのに、また戻ってきてしまう自分は何て愚かなんだろう。

一年ぶりの日本だった…

誰かと遊ぶわけでも会うわけでもないのに、思い出の詰まった公園へと足が自然と向かっていた。

遊具で戯れる子供たちの声、どこからか集まってきた鳩たち…

何一つ変わらない、ただ隣に彼がいないということだけで

楽しさで満ち溢れていたこの場所も真っ暗なフィルターを通してしか見れなくなる。

そして事故の傷を癒してくれた少女もいなくなった今、本当の心の拠り所を見失っていた。

何かをするわけでもなく、ただ項垂れたままベンチに腰を下す。
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