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「あの人なんだね、“図書館の彼”」

翌日、学校帰りにお見舞いに来てくれた悠耶がいきなり核心をつく。

つい黙ってしまうが、やっぱりそこは悠耶もお見通しらしい。

「やっぱりね。かっこいい人じゃない?」

「…ねぇ、あの夜のことだけど」

「あの日ね」

言葉を被せるようにして悠耶が話を切り出す。

「外人さんが声をかけてきたの」

彼女の話の概要はこうだった。



「Are you OK?」

「オッケー、オッケー」

慣れないフロアには人が溢れかえり フラフラしていると、手を差し出された。

背が高く、モデルのような整った顔立ち。

少しくすんだブロンドの髪。澄んだ青い瞳は全てを見透かしているようで視線を外せれない。

「But ココ オ子サン NGデス」

「子供扱いしないで!」

自分でも後ろめたい事実を人に指摘される程、嫌なものはない。

反抗期なら尚更だ。

だからと言って、初対面の人に当たるなんて…

今度はこっちから話しかける。

「…ねぇ、名前なんて言うの?」

「Ummm… “コウテイ”デス」

…訳が分からない。

皇帝?どこかの国の王子なのだろうか?
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