sEcrEt lovEr
甲ちゃんが帰国して数ヶ月が経ち 周りは夏だの海だの浮かれ始めた。

でもあたしはと言うと…

「絹ちゃん、夏休みの間に大きい病院でしっかり治療しない?」

神谷先生が聴診器を首にかけながら、そう言った。

“しっかり治療”て手術てことだよね…

「…しなきゃダメですか?」

「そうだねぇ… 前より胸が苦しそうだなって思ってね」

やっぱり先生は何でもお見通しだ。

だけど、どこの病院に行っても「治せます!」と自信を持って受け入れてくれる先生は誰一人としていなかった。

「そういえば陵南にすごいのが入ったらしいよ」

神谷先生は今は街のお医者さんだけど、パパと働いている頃は陵南大付属病院に勤務していた。

今でも手術が必要な人がいると、陵南大に足を運ぶらしい。

「若いし入局してそんなに経ってないのに、すでに教授を脅かす存在なんだって。

今度行く用事あるから絹ちゃんのことも聞いてくるよ」

「はぁ…」

そわそわしているのが丸分かりの神谷先生とは対照的に私は期待なんかしていなかった。

どうせ無理って言われるに決まってる…
< 63 / 233 >

この作品をシェア

pagetop