sEcrEt lovEr
付属病院に来るのはいつぶりだろう…

パパがいなくなって、少し経ってから神谷先生も独立されて それからはずっと神谷医院だもんね。

大学病院は広くて、慣れないけれどパパも昔ここにいたんだなぁって思うと勝手な親近感すら生まれる。

そして“彼”と過ごしたのもここ。

入院は嫌だけど、悪いことばかりでもなかったと今になって思う。

甲ちゃんとの待ち合わせ時間までは受付の長椅子に腰掛けていた。

だけど仕事中なのかいくら待っても、一向に姿が見当たらない。

お医者さんだから仕方ないと納得する一方で、でも“甲ちゃん”のことだから忘れてるかも… と不安が募る。

「絹!ごめんね、待たせちゃって」

甲ちゃんは術衣の上に白衣を羽織っていて、その姿はまさに“お医者さん”だった。

家では私服しか見たことがなかったこともあり、不覚にもドキッとしてしまう。

お医者さんだけど若いし、(結果的に)モデルも務まるルックスだし、優しいし、

看護師さんや患者さんからの支持率がすごいのも容易に想像がつく。
< 79 / 233 >

この作品をシェア

pagetop