奥様のお仕事
祖父と過ごした大みそかは
今年の反省 来年の抱負なんかを言わされたっけ

こっちみたいにテレビも遅くまでやってないし
いつも通りに寝て

朝起きたらすぐに 祖父に

「あけましておめでとうございます
今年もよろしくお願いします」

ちゃんと三つ指ついて 挨拶したら
笑顔で

「おめでとう
今年も元気で明るく過ごそう」


そう言うと お年玉をくれた。
島で使うなんて本当にちょっとだったけど
それでもすごく嬉しかった。


去年の今頃 祖父とそんな時間を過ごしていたんだと
この重苦しい宴の席で思い出した。


ただ黙々と 料理をつまんで
じいさんと父親は仕事の話をしたり


たまに孫たちにうるさく 小言を言ったり
母親は 

子供たちに行儀が悪いと何度も注意してるけど
反抗期なのか 二人ともうるさそうに聞き流すだけで

救いなのは
おばあさんが ニコニコして 私の料理を食べてくれてること


「本当に料理上手なのね」
おばあさんが声をかけてくれた。

「取り柄と言えば 料理くらいですから」


「尊敬するわ
私はダメ・・・・苦手・・・・・」


おばあさんはそう言うと おせちの黒豆をつまんだ。
< 154 / 296 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop